同じ税金払ってるのに、なんで“受けられるサービス”が違うの?|地域格差と「お金の使われ方」を知るマネーリテラシー入門
「品川区では中学の修学旅行が無償」「港区では制服代も無料で、海外旅行に行く学校もある」—— こんな話を聞いたことはありませんか? 一方で、同じように税金を払っているのに、 「うちは給食費も全額負担」「医療費の助成も中学生まで」…そんな地域もあります。 同じ国に暮らして、同じように働いて税金を納めているのに、 なぜこんなに“差”があるのでしょう? この記事では、「税金=みんなに平等」は本当に正しいのか? その前提を見直しながら、地域によって変わる公共サービスの中身と“お金の使われ方”の仕組みを、親子で学べるように整理していきます。
「税金は全国で同じだけ払うのに、なぜ地域で“差”が出るの?」
税金の仕組みと使い道|“払うお金”と“戻るサービス”のギャップ
税金は、国や地域のサービスを支えるために、みんなで出し合っているお金です。 でも、「払ったぶんだけ、みんなに平等に戻ってくる」とは限りません。 – 同じ年収の人でも、住んでいる地域によって受けられるサービスはまったく違う – 「払っている金額」は似ていても、「もらえている支援の中身」は大きく違う これは、税金の使い道が“国全体で決まるもの”と“地域ごとに決められるもの”があるからなんです。
国税と地方税、自治体の裁量ってどう違う?
税金には、大きく分けて2種類あります。 – 国に納める「国税」:所得税、消費税、法人税など – 自治体に納める「地方税」:住民税、固定資産税、事業税など 国税は全国の制度に使われますが、 地方税は“どんなサービスを優先するか”を各自治体が決められるのが特徴です。 たとえば—— 「うちは子育て支援を手厚くしたい」 「医療費助成を高校生まで拡大しよう」 「給食費は完全無償にしよう」 こういった判断が、地域によってできるのです。
住民税はどこにどう使われてるの?
毎年6月になると給与明細に登場する「住民税」。 これは、自分の住んでいる市区町村と都道府県に払っているお金です。 このお金は、以下のようなことに使われています: – 保育園や学校の運営 – 図書館や公園の整備 – 福祉・介護・医療費の助成 – 子育て支援や奨学金制度 – 防災・ゴミ収集・地域清掃など つまり、同じ住民税を払っていても、“どう配分するか”は自治体ごとに異なるということ。 そこに、地域ごとの“差”が生まれているのです。
【気づき】「税金=みんな平等」ではないのはなぜ?
税金は「全国一律に払っているもの」ではあるけれど、 “どう返ってくるか”は、住んでいる地域によってバラバラです。 – 子育て支援が手厚い自治体 – 医療や福祉に重点を置く自治体 – 教育や給食に力を入れている自治体 この差は、「どこに住むか」を考えるときの大事な視点。 “住む場所=見えないお金の得する・損する”に直結することを、まずは知っておきましょう。
実際どう違う?“同じ税金でもこんなに差がある”地域の例
品川区:制服・修学旅行・給食無償、理系進学支援
東京都品川区では、ここ数年で子育て・教育に関する支援が一気に進んでいます。 – 中学校の修学旅行が無償化 – 公立中学校の制服代も無償支給 – 一部小学校でオーガニック給食を導入(給食費は全額無料) – 理系大学生向けの給付型奨学金(保護者の所得制限なし) これらの支援を受けることで、実質的に数万円〜十数万円の負担軽減につながります。 「住んでいるだけで“もらえる・払わずに済むお金”がある」というのは、見逃せない差です。
港区:中学の海外修学旅行や保育の手厚さ
港区では、教育や国際理解教育に特化した支援も充実しています。 – 中学校での修学旅行先が海外(公立でもハワイなど) – 保育園の待機児童ゼロ&0歳児からの保育枠の充実 – 小中学校での英語・ICT教育の強化 – ひとり親・多子世帯への特別支援も手厚い 企業の本社が多く、法人税などの税収が潤沢な自治体だからこそできる施策といえます。
他の市町村では?医療費・給食費・教材支給の違い
同じ都内でも、地域によって受けられる支援は異なります。 – こども医療費の助成が「中学生まで」or「高校生まで」or「18歳まで」などまちまち – 給食費:全額無料の区/一部助成の市/完全自己負担の地域もあり – 教材費:学校指定のタブレット端末が支給される自治体もあれば、持参購入の地域も つまり、「住んでから気づく支援の差」が実際にはとても多いのです。
【視点】見えない支援=「もらえるお金」×「払わずに済むお金」
自治体による支援の違いは、“収入”が増えるわけではないけれど、“出ていくお金”を減らす効果があります。 – 制服代が無料 → 約2万〜5万円の節約 – 修学旅行無償 → 約5万〜10万円の支援相当 – 給食・医療費無償 → 年間数万円の家計軽減 このように、住む場所によって“実質の手取り”が変わるという感覚を持っておくと、 将来の生活設計や住まい選びにもつながります。
なぜそんな差が出るの?自治体の財源と“暮らしへの投資”
財政力の違い=どれだけ“地域にお金を回せるか”
地域差の背景には、自治体ごとの「財政力」=自由に使えるお金の差があります。 – 大企業の本社が多い地域 → 法人住民税が多く入る – 人口が多い自治体 → 消費税や住民税の総額が大きい – 土地の価格が高い地域 → 固定資産税収入も多い これらが積み重なることで、支援制度に使える“余力”が大きく変わってくるのです。
税収を増やす自治体の工夫(例:企業誘致・ふるさと納税)
自治体も「お金の入り口を増やす」ためにさまざまな努力をしています。 – 企業を誘致して雇用・税収を確保 – タワマン建設で固定資産税の底上げ – ふるさと納税で魅力をアピールし、交付税の配分を得る つまり、地域の支援は“地域経営”の結果でもあるということ。 地方の工夫次第で、暮らしの豊かさが変わる例も多いのです。
支援の差は「意識の差」?優先順位と地域ニーズの反映
もう一つの要因は、自治体ごとの「何を重視するか」という意識の違いです。 – 子育て世帯が多い地域 → 教育支援に力を入れる – 高齢者が多い地域 → 医療・介護に重点 – 都心の余裕ある自治体 → 留学・国際教育など独自支援も可能 これは「どれが正解」という話ではなく、地域の声を反映して決まっているということ。 だからこそ、“自分のニーズと地域の政策が合っているか”を見極める目が必要になります。
【問い】自分が払った税金、“誰のために使われている?”
税金は「みんなのため」に使われるものだけど、 その“みんな”が、「どの層を優先するか」で中身が変わってくる。 – 子育て世帯が助かる地域 – 高齢者福祉が手厚い地域 – 若者の支援やスタートアップに投資する地域 「誰のために使われる地域か?」は、自分にとっての“得意・不得意”にもつながる。 それを考えることが、「税金を活かす力」を育てる第一歩です。
“どこに住むか”もマネープランの一部。地域を選ぶ目を育てよう
支援の多い地域=「実質的にお金が増える」暮らし方
たとえば、同じ年収500万円でも—— – 支援の手厚い自治体に住んでいれば、教育費や医療費が無料/軽減され、 – 逆に支援の少ない地域では、自己負担が大きく、実質の手取りが減ることもあります。 つまり、“支出が減る=実質的にお金が増える”という考え方。 支援制度は、家計の中で“収入と同じくらい大切な存在”なのです。
家賃や物価の違いもふまえて“総合的な生活コスト”を考える
一方で、「支援が多い=絶対に得」ではないのも事実。 – 支援が多いエリアは家賃が高い傾向がある – 保育園に入れるかどうか、制度よりも“枠”が大事な場合もある – 通勤・通学の利便性も無視できない 大切なのは、「収入」「支援」「支出(家賃・生活費)」をセットで見て判断する力です。
子育て支援・教育費・医療費を「見えない貯金」としてとらえる
公的な支援は、いわば“現金で受け取らない貯金”です。 – 給食費が無償=年間6万円が浮く – 医療費助成=年間1万〜2万円の削減 – 修学旅行が無償=約5〜10万円分のサポート これらを金額換算してみると、住む場所が「家計の土台」を左右していることがよくわかります。
【まとめ】税金は“払うもの”から“活かすもの”へ。住む場所の選択が生きる力に変わる
税金は「ただ払うもの」ではありません。 どう戻ってくるか/どう活かされるかを知ることで、 “自分と家族にとって必要な地域”を選ぶ目が養われます。 – 自分が得られる支援は? – 将来の生活設計に合っている? – 価値ある“地域の投資”になっている? これからの時代、「どこで、どう暮らすか」は“お金の使い方”そのもの。 親子で話せるマネーのテーマとして、今から考えておく価値は十分にあります。
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