「お金があるのに買えない!?」から考える、“お金の本質”とは?

お金のきほん

お金があっても買えない!?という話から始めよう

「お金がたくさんあれば、何でも買えて安心」──本当にそうでしょうか? 実はこの「お金があるのに買えない」という逆説が、お金の正体に迫るヒントになります。

インフレってなに?

たとえば、ジンバブエ。2000年代、1兆ジンバブエドル札が発行されたほどのハイパーインフレが起きました。
パン1つが札束1つと引き換え…でも、誰もが札束を持っているせいで、モノのほうが圧倒的に足りない。つまり、「お金を持っているだけでは手に入らない」世界になってしまったんです。

これは極端な例ではありません。戦後の日本、物資がなく、紙幣だけが大量に流通していた時期にも、同じようなことが起きました。

「お金はあるのに、アメ1つ買えない」──そんな時代が、本当にあった。

どうしてそんなことが起きたの?

お金って、たくさん刷れば増やせるもの。だけど、それを「価値のあるもの」と信じてくれる人がいなければ、ただの紙です。

  • みんなが「これに価値がある」と信じてる → 使える
  • 「これを渡されても困る」と思われる → 使えない

つまり、お金が役に立つかどうかは、「どれだけあるか」じゃなくて、「どれだけ信じられているか」で決まるんです。

「お金=強さ」じゃない

じゃあ逆に、お金が少なくても、みんなが「このお金はちゃんと使える」と信じていればどうなるでしょう?

1枚の紙切れが、家1軒や車1台と交換できる。それはお金に「力」があるからじゃない。みんながその価値を信じているからです。

お金は「持ってる量」より、「信頼されているかどうか」で機能が決まる──ここが、お金の最大の不思議であり、おもしろさです。

じゃあ、その「信頼されている状態」ってどうやって生まれるんだろう? 次は、お金の「強さ」の正体をもう少し深く見ていきましょう。

じゃあ、お金の「強さ」ってなに?

お金がたくさんあっても、使えなければ無力。 じゃあ、逆にお金を「強くするもの」って何でしょう?

なぜ「紙切れ」に価値があるの?

今、財布に入っている1万円札を見てみてください。 それって、ただの紙です。金(ゴールド)と交換できるわけでもないし、特別な素材でもありません。

それでも、あなたはその紙を「1万円分の価値がある」と信じているし、お店の人も同じように信じています。
この“みんなが信じている”ことこそが、お金の強さの正体です。

  • お金は「価値のあるもの」ではなく、「価値があると信じられているもの」
  • その信頼が、交換や買い物をスムーズにしている

かつては「金(ゴールド)」が信用の裏付けだった

昔は、「お金=金(ゴールド)と交換できる券」でした。金本位制と呼ばれる時代です。
つまり「この紙を出せば、ちゃんと金がもらえる」=信頼のしくみが、明確にあったわけです。

でも今は違います。1万円札は、金とは交換できません。
それでも価値があるのは、「この国のお金だから安心」「誰でも受け取ってくれるから大丈夫」という社会全体の合意があるからです。

信じてもらえてる限り、お金は“強い”

最近では、紙幣だけでなく、電子マネーやポイント、デジタル通貨も増えていますよね。
どれも“見えないお金”ですが、使えるのは「信頼」が支えているからです。

  • Suicaが使えるのは「このシステムなら大丈夫」と思われているから
  • 楽天ポイントも、みんなが「使える」と思ってるから流通する

逆に、信用を失った通貨やサービスは、たとえ見た目には数字が積み上がってても実際に使えるものではなくなってしまいます。

お金の「強さ」は、数字やデザインじゃなく、「信じてもらえるかどうか」で決まるんです。

だとしたら…お金って、「使えば終わりのモノ」じゃなくて、「信頼のバトン」かもしれませんね。
次は、お金があるからこそ私たちができている“やりとり”について考えてみましょう。

お金があるからこそ、見えない“信用”がやりとりできる

お金は「交換をスムーズにする道具」と言われます。 でも、もう一歩深く見てみると──お金は“信用をやりとりする仕組み”でもあるんです。

お金があることで、私たちは「信じる」「応援する」「任せる」といった、
目に見えない気持ちを、具体的に表せるようになっています。

「応援してるよ」の気持ちが、お金に乗る

たとえば、推しの配信者にスーパーチャットを送る。 クラウドファンディングで好きなアイデアにお金を出す。 そこには「この人にもっと活躍してほしい」「この未来を応援したい」という気持ちがありますよね。

その気持ちを相手に直接届ける手段として“お金”が使われている。 つまり、お金は単なる「交換」だけじゃなく、“信じる力”を渡す道具でもあるんです。

「任せる」も「預ける」も、信頼があるからできる

子どもにおこづかいを渡すとき。
それは「好きに使いなさい」ではなく、「あなたなら考えて使えると思うよ」というメッセージでもあります。

つまり、お金には「信頼のバトンを渡す」という側面もあるんです。

  • 親が子におこづかいを預ける
  • 誰かに前払いする(信じて託す)
  • 借りる・貸すという行為も「信じてる」が前提

お金があるからこそ、人と人の“見えない信頼”が動き出す
これって、ただ便利な道具ってだけじゃ、ちょっと説明つかないですよね。

子どもにも話してみたい「お金と信頼の話」

たとえばこう聞いてみてください。

「この500円、どうして使えると思う?」

「これをあげたら、相手がなにを信じて動いてくれるのかな?」

お金は「信じていいよ」「大丈夫だよ」「応援してるよ」って気持ちを、
すばやく、わかりやすく、相手に届けられる道具。 でもそれって、お金の中に“信用”という目に見えないものが詰まってるってことなんです。

じゃあ最後に、こう聞かれたとき──「お金ってなに?」って聞かれたら、親として何て答えたらいいか、一緒に考えてみましょう。

じゃあ、「お金って何?」って子どもに聞かれたら?

これまで、「たくさんあるのに買えないお金」や「信じてもらえれば価値が生まれるお金」、 そして「応援や信頼を形にできるお金」について考えてきました。

でも、最後に親としてちょっと悩む問いが残ります。 「お金ってなに?」って聞かれたら──あなたはどう答えますか?

正解はない。でも“言葉”にすることに意味がある

お金って、紙でも金属でもない。数字でも口約束でもない。 だけど確かに「使える」し、「やりとりできる」。

だからこそ、「ただの道具」と言ってしまうには、ちょっと物足りないんです。

そして子どもは、「数字が多い=偉い」「たくさんある=安心」って思いがち。 だからこそ、私たち大人が“自分の言葉”で語ってみせることに意味があります。

親として、こんなふうに話してみては?

お金の話って、うまく言おうとすると難しくなる。 だからシンプルに、でもちゃんと心がある言葉で話すのが大切です。

  • 「お金は、信じてもらえてるから使えるんだよ」
  • 「大事なのは、どれだけあるかより、どう使うか」
  • 「ありがとうとか、任せたよって気持ちを届ける道具なんだ」

完璧な説明じゃなくていいんです。 でも、家庭の中で“自分たちのお金観”が少しずつ言葉になるだけで、 子どもにとっては大きな財産になります。

“たくさんある”より“ちゃんと伝わる”お金を

お金って、たくさん持っていればいいわけじゃない。 「信じてもらえる」「任せてもらえる」「応援できる」── そんなやりとりができることこそが、本当の価値なのかもしれません。

だからこそ、「お金ってなに?」という問いに、 あなたの言葉で答えてあげてください。
きっと子どもは、その“答え”よりも、あなたが真剣に考えてくれたことを覚えてくれるはずです。

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