友達とのお金の貸し借り、どうする?|「断れない」子への対話と判断軸
「ちょっと100円貸して」 「いいよ…」 子ども同士のささいなやりとりに見えるかもしれませんが、そこにはトラブルの芽や、モヤモヤが潜んでいることも。 親としては「やめてほしい」と思うものの、頭ごなしに禁止するだけでは、子ども自身の判断力が育ちません。 むしろ「貸さないと悪い気がする」「断ったら嫌われるかも…」と感じる子も多く、曖昧なまま関係がねじれてしまうこともあります。 この記事では、親が子どもにどう伝えるかを軸に、貸し借りがなぜ難しいのか、どう判断すればいいのかを一緒に考えていきます。
「ちょっと貸して」がトラブルになるのはなぜ?
子ども同士は“対等な契約”ができない
そもそも、子ども同士の金銭のやりとりは「契約」としての重みを持っていません。 まだ責任をとる力が育ちきっておらず、親の助けを前提にした年齢だからこそ、貸し借りには大きなズレが生まれやすいのです。 相手の気持ちに気をつかう子ほど、断れずに“損”な役回りを引き受けてしまうことも。 これは決して“弱さ”ではなく、「まだ未成熟な関係性」で起こる自然なズレなんです。
返ってこない理由は、ウソじゃなく「感覚の違い」
「絶対返すって言ったのに…」 でも実は、相手は“悪気”があるわけではなく、「忘れてた」「別にいらないと思った」など、感覚の違いからくるケースも多いです。 まだ金銭感覚がはっきり育っていない子ども同士では、“100円”の重みも、“借りることの責任”も、人によってバラバラ。 だからこそ、最初から「トラブルになりやすい」前提で向き合うことが大切です。
「ダメ」より「どうして?」から入る親子の対話
「お金の貸し借りはダメ!」と一方的に禁止しても、子どもは「悪いことをした」と感じるだけで、判断力は育ちません。 むしろ、「どうして貸したの?」「なんで返してもらわなかったの?」と、 その時の気持ちや背景を一緒にふりかえることが、学びのチャンスになります。 “失敗”を“成長の入り口”に変えるために、親が一緒に考える姿勢がとても大切です。
じゃあどうする?「貸す/貸さない」を考える判断軸
返ってこなくてもいい金額だけを貸す(=あげると同じ)
「貸す」というより、「なくなってもいいお金」として扱える範囲で考えるのが現実的です。 たとえば、「100円くらいならいいか」と思う気持ち自体は自然ですが、それは“あげた”と同じことになるという前提を伝えましょう。 「絶対に返してもらいたいお金は、子ども同士では貸さない」 このルールを最初に持っておくと、トラブルを避けやすくなります。
「貸さない=冷たい」じゃない、“お金と友情”の線引き
子どもにとっては、「友達に貸さないなんて冷たいかな」と感じることもあります。 でも、本当の友情とは、お金でつながっているわけではありません。 むしろ、「お金のことは親に言われてるから無理なんだ」と正直に言えるほうが、自分を守る力になります。 親として、「友情とお金は別物」という線引きを、しっかり伝えてあげましょう。
親が決めたルールが、子どもを守る“言い訳”になることも
「親に言われてるからごめんね」 この一言は、子どもが“嫌な顔をせずに断る”ための最強のセリフになることがあります。 大人から見れば、子どもが責任を親に預けるようで頼りなく見えるかもしれません。 でも、断れない性格の子にとっては、“ルール”が盾になることも多いのです。 「家のルールでは、お金の貸し借りはしない」——そう伝えておくだけでも、十分に効果があります。
上手に断る・伝えるって、むしろカッコいい
「お金は親に言われて貸せない」って言ってOK
「貸してあげたいけど、うちは親に言われてるから…」 そうやって断ることは、恥ずかしいことでも、冷たいことでもありません。 むしろ、ルールを守りながら友情も守る、かしこい断り方なんです。 責任を背負いきれない年齢だからこそ、ルールや大人の言葉を借りていい。 それを“かっこ悪い”と思わず、“自分を守る手段”として肯定してあげましょう。
「またみんなでやろう」って別の形に誘導する技
断るだけで終わらず、「貸さないけど、また一緒に遊ぼうね」「次はお金かからない遊びをしよう」など、別の提案をする“やさしい断り方”も身につけていきたいもの。 お金が原因で関係がギクシャクしないように、コミュニケーションの工夫を教えてあげることも、親の大切な役割です。
トラブルになったとき、親はどう動く?
もし、返してもらえなかった・もめごとになったといった場合は、子どもだけに任せず、親がしっかり状況を聞いてあげましょう。 「返してって言いづらい」「言ったけど無視された」——そんな小さなストレスの蓄積が、後々の人間関係に響くこともあります。 親は“介入”ではなく、“相談される存在”になることが大切。 「もし困ったら教えてね」と、安心して話せる空気をつくっておくことが、何よりのトラブル予防になります。
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