お年玉で買い物していいの?“使わせる”家庭と“貯めさせる”家庭のちがい
「お年玉、今年もどうする?」
渡す側は慣れていても、受け取る子どもとその親にとっては毎年ちょっとした悩みの種だったりします。
「全部好きに使わせる?」「とりあえず預かる?」「少しだけ任せてみる?」
家庭によって方針が分かれやすい“お年玉の扱い方”には、正解がないからこその迷いがつきものです。
親が悩む「どこまで任せるか」のグラデーション
「自由」「管理」「ハイブリッド」──それぞれのスタイル
お年玉の運用スタイルは、家庭ごとに本当にバラバラです。
- 全額自由に使わせる:「自分の責任で使って学んでほしい」
- 全額預かる:「まだ判断力が不十分。まずは管理」
- 一部だけ任せる:「〇円までは自由、それ以外は貯金や親管理」
どれも間違いではありませんが、どの方法も親子の関係性や子の性格に応じて“うまくいったり、うまくいかなかったり”するのがリアルです。
「自由にさせたらムダ遣いしそう」「預けさせすぎると反発するかも」
自由に使わせてみたら、数日でほとんど使い切ってしまった。
逆に、全部預かったら「なんで返してくれないの?」と言われた。
こんな経験、少なくないはず。
使わせた結果の後悔も、預かることへの不満も、どちらも“子どもの成長”と切っても切れない反応です。
「正解はない」けど、選択は“価値観”を映す
親の方針が反映されやすいのが、お年玉の使い方。
それは金額の話だけじゃなく、お金にどう向き合ってほしいかという価値観の表れでもあります。
大切なのは、どのスタイルであっても“親がその意図を持って関わっているか”。
次は「使わせる」「貯めさせる」どちらの選択にも“学びを仕込む”ための、実践的な工夫をご紹介します。
「学ばせる」ためにできる工夫──失敗も成功も体験に
お年玉は、子どもにとって“まとまった金額を自分で持てる数少ないチャンス”。
だからこそ、ただ「使わせる」「預かる」だけで終わらせるのはもったいない。
その過程に“考えさせる時間”を組み込むだけで、お金の使い方はぐっと育ての場になります。
「自由に使ったらどうなった?」を一緒にふりかえる
もしある程度自由にさせたなら、終わったあとが勝負です。
「どれに使った?」「満足度はどうだった?」
たったそれだけでも、自分の選択を振り返る癖がつきます。
「思ったよりすぐ無くなった」「あんまり印象に残ってないかも」
そんな実感が、次のお金の使い方に生きてきます。
「預ける」も“納得感”とセットで
一方で、預かる場合にも大切なのが「なぜ預かるのか」を共有すること。
例え全額預かるにしても:
- 「貯金しておいて、あとで〇〇に使いたいなら一緒に考えよう」
- 「大きな買い物をするときは相談してね」
というように、ただ“没収”ではなく、協力的な管理の形にできると、子どもも納得しやすくなります。
「ちょっとだけ自由に」も成長のきっかけになる
あるご家庭では、最初は全額親に預けていた上の子が、
だんだんと「少しは自分で使いたい」と主張するようになったそうです。
結果、「じゃあ1万円だけ自由にしてみよう」という話になり、
そこから“自分で管理する意識”が芽生えていったとのこと。
完全な自由でなくても、小さな決定を任せることで自立の一歩になることもあります。
「貯めて大きな投資をする」成功体験も
また別のケースでは、下の子が素直にお年玉を預け続け、
最終的に自分の貯めたお金で10万円以上のパソコンを購入したとのこと。
「遊びにも学びにも使えて、将来につながる」と感じたこの買い物。
親も“投資として正解だった”と思えたことで、預けた意味が結果として残りました。
使うにせよ、預けるにせよ──
“任せる・一緒に考える・ふりかえる”のサイクルがあるかどうかが、学びの分かれ道です。
次は年に一度のこの機会を“金銭感覚を育てる場”にするための
親の関わり方やアイデアをご紹介します。
お年玉は“お金との距離”を見直せるチャンス
お年玉は、単なる「臨時収入」ではなく、
子どもが自分とお金の関係を見直す機会でもあります。
だからこそ、年に一度のこの“イベント”を、親子でお金の話ができるきっかけに変えてみてはいかがでしょうか。
1,000円のおこづかいとは違う“特別なお金”としての扱い方
日常的なおこづかいとは違って、お年玉は金額も桁が大きく、「選択の幅」が一気に広がるお金です。
だからこそ、「いきなり自由にしてOK?」と戸惑う親の気持ちもよくわかります。
ただ、逆に言えばこれは、予算を組む・目的を持つ・選択肢を比べるなど、
“お金を使うとはどういうことか”を学ぶ体験をつくるチャンスでもあります。
後悔も満足も、全部「体験」として回収できる
もし「使い切って後悔した」「よく考えて買って満足だった」
どちらのパターンでも、親が会話の中でそれを“経験”に変えてあげることが大切です。
「それ、買ってよかった?」
「次はどうする?」
このたった2つの問いかけが、次の判断に確実につながっていきます。
“予算を立ててから使う”を体験させてみよう
たとえば、お年玉を:
- 〇円は欲しい物用
- 〇円は貯金
- 〇円は来月以降にとっておく
というように分けて、「予算を決めてから使う」体験をしてみるのも有効です。
「全部好きに使って後悔する」のも、「計画を立てて満足感を得る」のも、
“失敗させない”より、“考えて選ばせる”方が育ちます。
親にとっても、価値観を伝えるタイミングに
子どもにとっての「お年玉体験」は、親の価値観がにじみ出る瞬間でもあります。
「何を大事にしているか」
「お金をどう使ってほしいと思っているか」
そうしたことを、ルールではなく“会話”で届けられるかが、信頼の積み上げにつながります。
大きなお金を目の前にしたときにこそ、
“任せる・支える・ふりかえる”の循環を、親子でつくっていけたらいいですね。
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