「ケガしても1,000円で済んだのはなんで?|3割負担のしくみ」

お金と社会のしくみ

ケガしても1,000円で済んだのはなんで?|3割負担のしくみ

「えっ、たったこれだけでいいの?」 子どもがケガや病気で病院に行っても、支払いは数百円〜数千円。 ところが実際の医療費は、何万円もかかっていることもあります。 「どうして、こんなに安く済むの?」 「誰が、残りのお金を払ってくれてるの?」 この記事では、そんな“目に見えないお金の流れ”を親子で一緒に学べるように整理していきます。 そして、制度がもしなかったらどうなるのか? 世界の事例も交えながら、日本の医療制度の意味と“支え合い”の価値を考えていきます。

「骨折したのに1,000円だけ?」|“体験”から入る医療費の不思議

実際の医療費は数万円?親の体験と子の体験のギャップ

たとえば、子どもが腕を骨折してレントゲンを撮り、ギプスを巻いてもらっても、 病院の窓口で支払うのは2,000円もいかないことがあります。 けれど、同じ処置を大人が自費で受けたら? 実際には1万〜2万円以上かかることも珍しくありません。 同じ医療なのに、なぜこんなに差があるのか? それは、見えないところで「誰か」が「何か」を支えてくれているからです。

子どもはなぜ無料?「誰かが払ってくれている」ってどういうこと?

子どもの医療費が無料、またはごく少額なのは、 – 健康保険の制度(3割負担)と – 各自治体による助成制度(残りを税金でカバー) の“二重の支え”によるものです。 子ども自身が払っていないからといって、医療費が消えているわけではありません。 実際には1人分の医療に、何万円もの“見えないお金”が動いているのです。

■子どもに伝えるなら?
「今日の病院代、たった500円だったけど、
ほんとは何千円もかかってたんだよ。
見えないところで、誰かが支えてくれてたんだね」

【気づき】お金が見えないだけで、ゼロじゃない

「無料だった」「安かった」だけで終わらせてしまうと、 「制度のありがたみ」も「支える側の存在」も見えなくなります。 でも実際は、 – 健康保険に加入している人たちの保険料 – 自治体が集めた税金 が組み合わさることで、誰かの医療費が“減っている”のです。 「お金がかからなかった」ではなく、 「見えないお金がかかっていた」ことを、まずは実感することが大切です。

「タダで受けられる仕組み」はどうなってるの?

健康保険の“3割負担”って?

日本では、医療費のうち「3割だけ」を払えば、 あとの7割は公的な医療保険(健康保険)によってカバーされます。 – かぜで病院に行ったとき – ケガで整形外科にかかったとき – 手術や入院をしたとき など これらの医療費はすべて、自分が払う保険料+会社や社会の支えによって成り立っているのです。

自治体の「子ども医療費助成制度」で、さらに負担がゼロに

さらに多くの自治体では、18歳までなど一定の年齢の子どもに対し、 自己負担(3割)さえも無償化する助成制度を設けています。 – 医療費が“窓口無料”になる – 処方箋の薬代も対象となる – 自己負担限度がある地域も(1医療機関につき月○円まで など) ただしこれは、すべての市区町村が同じ内容ではありません。 助成の手厚さには「地域差」があり、税収や人口構成の影響を大きく受けています。

「誰かが払っている」制度の財源と支え合い

こうした医療費助成や健康保険制度を支えているのは、 – 毎月の保険料(会社員や自営業者が支払い) – 国や自治体の税金 – 病院ごとの努力と地域医療のしくみ といった、多くの人の「見えない支払い」です。 つまり、“医療費が無料”に見えるのは、誰かが代わりに負担してくれているから。 それを知るだけでも、「制度をありがたく使う意識」が変わってくるはずです。

■子どもに伝えるなら?
「病院でお金がかからなかったのは、“ただラッキーだった”んじゃなくて、
会社で働いてる人が払ってくれてる保険料や、
みんなが払ってる税金が使われてたんだよ」

【視点】「支払っている誰か」がいて制度が続いている

医療制度は「いつでも誰でも受けられる」ことが大事ですが、 その背景には、実際に保険料を払い続けている人たちの存在があります。 – 会社員が毎月天引きされる保険料 – フリーランスや自営業が自分で払う国保の保険料 – 働けない人の代わりに、国や自治体が支援しているケースも この支え合いがなければ、私たちの“あたりまえの安心”は成り立ちません。

「ありがたい」だけで終わらせない|親子で話したい“支え合い”のしくみ

将来、自分が支える側になるってどういうこと?

いま子どもが無料や安価で医療を受けられているのは、 親世代・社会全体の“見えない支払い”に支えられているからです。 そして、将来は子どもたち自身が支える側になります。 – 社会保険料を払う – 税金で社会制度を支える – 制度に参加する=社会に関わるということ 「恩返し」ではなく、「お互いさまの循環」として、それが当たり前になっていく社会を意識づけることが大切です。

もし、こうした制度がなかったら?

仮に健康保険制度や医療費助成がなかったら、どうなるでしょうか? – レントゲンやギプス処置で 数万円〜10万円 の請求 – 入院1泊で 数万〜十数万円 – 先進医療や救急搬送が 全額自己負担 に 「受けたいけど、お金がないからあきらめる」 そんな現実が、日本以外の多くの国では“普通”に起きているのです。

【世界比較】日本の医療制度は“ちょうどいいバランス”?

日本の医療制度は「国民皆保険制度」といって、すべての人が公的な保険に入ることが前提です。 これは世界でも珍しく、評価されている制度でもあります。 | 国・地域 | 特徴 | |———-|——| | アメリカ | 保険なしだと1回の診療で数十万円。破産する人も。 | | スウェーデン・フィンランド | 医療は完全無償に近いが、税金が非常に高い(消費税25%など) | | 中国・東南アジアの一部 | 公的支援が薄く、医療費は全額自費が一般的 | 日本は「税+保険料+支援制度」で“ちょうどよく”分担し合うモデル。 制度の負担はあるけれど、それによって選べる安心と公平性を手に入れていると言えます。

■子どもに伝えるなら?
「日本の医療って、安くすんでラッキーじゃなくて、
誰かが支えてくれてる仕組みなんだよ。
海外では、お金がないと病院に行けない国もあるんだ」

【まとめ】制度を“自分のこと”として考える力を育てよう

社会保障や医療制度は、「誰かが作ってくれた便利なもの」ではなく、 今の私たちが“選んで支えている”仕組みです。 そして、子どもたちはいつかその制度の一部を担うようになります。 – なぜこの制度があるのか? – どうやって支えられているのか? – 将来、自分がどう関わるか? そういった問いを共有することで、 「ただ使う」から「支え合う社会の一員へ」視点が育っていきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました