“お金は回る”ってどういうこと?|パン屋と商店街で学ぶ、経済が育つしくみ
「金は天下のまわりもの」 昔からよく言われてきたこの言葉。お金は“持っているだけ”では意味がなく、使うことで次の人へ、また次の人へと回っていく——。 でも実際に、「お金が回る」ってどういうことなんでしょうか? この記事では、パン屋さんと商店街の一日を例に、 “お金が動くことで社会がどうつながっていくのか”、 そしてなぜ「回すと価値が育つ」のかを、一緒に見ていきます。
パン屋の1日から見る、お金が“回る”ってこういうこと
材料を仕入れる → パンをつくる → お客さんに売る
朝、パン屋さんが小麦粉やバターなどの材料を仕入れて、パンを焼きます。 できあがったパンを、お客さんが買っていく——この流れが、まず「お金が動く」第1歩です。 お客さんが払ったお金は、パン屋さんの収入になり、次の材料代やお店の運営費になります。
売上でバイトの給料・新しい設備投資ができる
たくさん売れたら、パン屋さんはアルバイトを雇ったり、 レジを新しくしたり、店を広くしたりできます。 このときに動いているのは「人」「モノ」だけでなく、「お金の流れ」。 売上が増えると、次の行動につながっていくんです。
バイトさんが給料で商店街の八百屋や本屋へ
アルバイトとして雇われた高校生が、給料をもらって八百屋さんで野菜を買ったり、 本屋さんでマンガを買ったりすると、次はそのお店の売上が増えます。 つまり、「パン屋さんで使われたお金」が、別のお店でも動き出す。 こうして商店街全体で“お金がまわっている”状態ができていきます。
【例】「1つのパン」が商店街全体を動かす連鎖
1人のお客さんがパンを買う → パン屋の売上になる → アルバイトが雇われる → バイトが八百屋で買い物 → 八百屋の仕入れ先にも注文が入る… たった1つのパンが、いろんな人とお店に“つながり”を生み出す。 これが、お金が「回る」っていうことなんです。
「回るだけ」で終わらない?お金が“育つ”のはなぜ?
需要があるから生産ができる=「必要とされる」が価値になる
パン屋さんがパンを作るのは、「買ってくれる人がいる」から。 つまり、誰かが“必要としている”=需要があるからこそ、仕事として成り立ちます。 お金が動くと、誰かが「やってくれるなら助かる」と思うことに時間や労力が使われ、 それが「仕事」や「価値」になります。
売上が出れば、店は“再投資”できる → 新しい価値が生まれる
パン屋さんに売上があれば、 – 新しい種類のパンを試したり – おしゃれな袋にしたり – 店内を居心地よくしたり より良いサービスや商品をつくるための“再投資”ができます。 これがまたお客さんを呼び、さらに売上につながる—— 回ることで、“次の価値”が生まれていくのです。
循環が生産力を上げる=“価値を生む流れ”が育っていく
単に「お金が行ったり来たりしている」だけではありません。 その中で、 – 誰かが働く – 新しいアイデアが生まれる – より良いものが増える こうして生産力=社会が生み出せる価値の力が、回りながら育っていくんです。
【視点】ただのお金のやりとりが、街の「元気」になる理由
商店街にお金が回るというのは、 – お客さんが来て – お店が活気づいて – 働く人がいて – さらにサービスが生まれる という「街の元気の連鎖」を意味します。 回すことで、お金も、人も、価値も、つながりも増えていく—— それが、循環が“育てる”ということなんです。
じゃあ、商店街が“回らなくなる”とどうなる?
安さだけで選ぶと、地元のお店にお金が戻らない
最近はネットや大型店で、どこよりも安く買えることもあります。 でも、そうして地元のお店で買わなくなると、そのお金は地域に残りません。 お金が「別の場所」に流れたまま、戻ってこない。 それが繰り返されると、お店は減り、仕事も減り、活気がなくなっていきます。
回らなければ“需要”も“生産”も止まる
お客さんが来なければ、パン屋さんも仕入れを減らし、バイトも減らし、 「作る量」も「売る工夫」も、少しずつ小さくなっていきます。 お金が回らなくなると、需要が消え、生産力も下がり、価値が生まれなくなる。 経済が“しぼんでいく”というのは、こういう流れです。
外からも人を呼び込む仕組みで“循環を育てる”地域もある
一方で、地元の良さを活かして外から人を呼び込む地域もあります。 – 観光客に地元商品を買ってもらう – イベントで商店街に人を集める – SNSで話題になって“応援購入”が生まれる こうして“外の力”も取り込みながら、地域の中で回す力を強くしていく動きも広がっています。
【まとめ】お金は「使ったら減る」じゃなく「回したら育つ」
「お金を使う=減る」と思いがちですが、 使うことで誰かの収入になり、商品やサービスが生まれ、また使われていく。 この“流れ”こそが、経済を支え、街や人を元気にするしくみです。 だからこそ、「回す」ことで、お金も価値もつながりも“育っていく”んですね。
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