なんで“借りたら多く返す”の?|利息の理由と仕組みを子どもと考える
「1万円を借りたら、返すときには1万1千円だった」 そんなふうに、お金を借りると“ちょっと多く”返さなきゃいけない——これが「利息」です。 でも、なんでわざわざ多く返さないといけないの? 損してるのは自分だけ?それとも、誰かが得してる? そして、この仕組みはフェアなの? この記事では、「利息ってなに?」という素朴な疑問を出発点に、 お金を“貸す人の立場”や、“社会でお金が回る仕組み”まで、親子で一緒に考えていきます。
なんで借りたら“ちょっと多く”返すの?利息の基本を知ろう
1万円を借りたら、1万1千円返す…この“1千円”は何?
たとえば、Aさんが友達から1万円を借りて、1か月後に1万1千円を返したとします。 このときの“1千円”が「利息(りそく)」です。 これは「貸してくれてありがとう」「待ってくれてありがとう」の気持ちでもあり、 お金を使わせてもらった“手数料”のような役割もあります。
貸す側から見たら「返ってこないかもしれないリスク」もある
お金を貸すとき、貸した人には「本当に返ってくるかな?」という不安があります。 もしも相手が返してくれなかったら、自分のお金はなくなってしまうかもしれません。 この“リスク”を引き受けるかわりに、利息という形で「見返り」をもらっているのです。
利息=「信用を使って借りるためのコスト」
お金を借りるとは、「まだ持ってないけど、後でちゃんと返すよ」という“信用”で行う取引です。 つまり、相手を信じて先に渡してくれているということ。 その信用を“タダで使う”のではなく、「ありがとう」の気持ちと「リスクをカバーする」意味をこめて、 少しだけ上乗せして返す。それが利息の本来の役割です。
【例】「もし返ってこなかったら…」を想像してみよう
たとえば、あなたが友達に1万円を貸したとして—— 返ってこなかったらどう感じますか? – もう二度と貸したくない – 自分が困る – 親に謝らないといけないかも そんな気持ちになるリスクを背負ってるからこそ、「貸す側のメリット」も必要になるのです。
でも、いくらでも利息つけていいの?ルールと限度がある
実は「法律で上限」が決まっている(利息制限法)
「じゃあ、貸す人が好きなだけ利息を取ってもいいの?」と思うかもしれませんが、 そんなことはありません。 日本では「利息制限法」という法律があり、 – 10万円未満の貸し付け:年20%まで – 10万円以上〜100万円未満:年18%まで – 100万円以上:年15%まで というように、上限金利が決められています。
高すぎる金利はNG!フェアなルールのなかで成り立っている
もしこの上限を超えるような高すぎる利息で貸した場合、 法律違反となり、無効になるケースもあります。 つまり、「貸す側の権利」も、「借りる側の安心」も、 フェアなルールのなかでバランスを取って守られているんです。
銀行も利息で運営している|預金金利と貸出金利の関係
銀行にお金を預けると、ほんのわずかですが利息がつきます。 これは、銀行が「預かったお金を他の誰かに貸している」から。 貸すときには年3〜10%の利息で回収し、 預けた人には年0.001〜0.1%の利息をつけて戻す—— この“差額”が、銀行の収益になっています。 つまり、利息とは「お金をぐるぐる回す仕組み」の中にあるものなのです。
【図解】お金を「預ける」「貸す」ってどうつながっている?
お金の流れをざっくりまとめると… 1. 誰かが銀行にお金を預ける 2. 銀行がそのお金を他の人に貸す 3. 借りた人が利息をつけて返す 4. 銀行が一部を利息として預けた人に戻す このように、「借りる」も「預ける」も、どちらも社会のお金を回す一部なんです。
借りるとき・貸すとき|気をつけたい“ルールと心がまえ”
簡単に借りられる時代だからこそ、ちゃんと知っておきたい
今の時代は、スマホでもネットでも簡単に「借りられる」仕組みが増えています。 でも、その便利さの裏には「責任」があることも忘れてはいけません。 借りたら返す。返すだけじゃなく、“返す仕組み”も考えて借りる。 この意識がないと、あとで大きな困りごとにつながることもあります。
返せないと信頼を失う|信用スコアにも関わってくる話
返済が遅れたり、返せなかったりすると、その情報は信用情報として記録されることがあります。 将来的に、クレジットカードが作れなかったり、ローンが通らなかったりする可能性も。 「返すかどうか」は、その人の信頼を数値化する指標にもなっているんです。
「借りる=悪」じゃない。でも「知らずに借りる」は危ない
お金を借りること自体が悪いわけではありません。 家や教育、ビジネスのために、必要な借り入れは大切な選択肢です。 でも、「仕組みを知らないまま借りる」「返せるかどうかを考えずに借りる」ことは危険。 大人でも、うっかり落とし穴にハマることがあるからこそ、子どものうちから知っておくことが大切です。
【まとめ】“お金の貸し借り”は、信頼と責任でできている
お金を借りるとき、そこには「信じてもらう」という前提があります。 そして、貸す側には「返ってこないかもしれない」というリスクがあります。 だからこそ、貸し借りは信頼と責任のバランスで成り立っています。 その仕組みを知ることが、正しく使いこなす第一歩になるのです。
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